小諸 布引便り Luckyの日記

信州の大自然に囲まれて、老犬介護が終わり、再び、様々な分野で社会戯評する。

画家、ホッパーの絵と映画、「サイコ」の洋館

画家、ホッパーの絵と映画、「サイコ」の洋館
エドワード・ホッパーという画家の描いた初期の連作の「線路わきの家」の一枚に、奇妙な洋館の絵があるという。 それは、1925年に描かれた絵で、線路沿いひっそりと佇む、人の気配すらない旧い洋館、光と陰とが、奇妙に調和したような筆致は、力強い、緊張感を孕んだタッチへと、変貌し、そこに、実際に見たところの風景から、対象物(線路)を、移動したり、消去、或いは、新たに付け加えた手法を用いて、過去の廃れ行くアメリカと新しく新興しつつあるアメリカとを、線路を隔てて、描いているといわれている。そこに描かれている何気ないアメリカの風景を、何と、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督は、傑作「サイコ」の中で、あの若き日のアンソニー・パーキンスの演じた主人公の棲む古びた不気味な洋館に、重ね合わせたそうである。彼は、元々、印象派の画家達の影響を受けたものの、彼が描いた対象は、街の片隅や路地裏、寄る辺なき人々の日常生活、新たに変貌を遂げ行く変わりゆく風景をひたすら、映画の一コマ、一コマのような描写手法で、描き続けたのである。空前の経済発展を遂げて、世界の栄光と繁栄を謳歌する一方で、この画家は、光と陰の陰翳の中に、何を描き出そうとしていたのだろうか?そして、ヒッチコックは、その感性の何処に、この一枚の絵を、映画の中で、使おうと決意させたのであろうか?絵画も映画も、観る側に、いつも、何かを問われているようで、そのカラクリを知ることは、何とも、たまらないスリルと緊張感が、味わえよう、、、、、というものであろうか、、、。

National Gallery of Art: Edward Hopper
http://www.nga.gov/exhibitions/2007/hopper/index.shtm