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小諸 布引便り Luckyの日記

信州の大自然に囲まれて、老犬と一緒に、様々な分野で社会戯評する。

今後の防衛力の在り方という講演を聴く:

今後の防衛力の在り方という講演を聴く:

統合幕僚会議議長の杉山蕃氏による2時間程度に亘る講演である。現状の安全保障環境、肥大化する中国軍、中国の壮大な戦略、日本の置かれた環境、防衛力の在り方、等に関する内容で、米国海軍による南沙諸島への12浬以内への航行事態の以前での講演である。今や、右とか左とかいっていられるような情況ではない。防衛の最前線に携わってきた専門家による忌憚のない分析は、なかなか、マスメディアには、出てこないような内容で、興味深いものがある。灘校から、防衛大学を出て、航空自衛隊へ、そして、米軍との共同作戦立案担当後、統合幕僚会議議長になるコースであるから、一種、昔で謂えば、士官学校出のエリートであろうか?現在の安全保障情況というものは、実は、既に、「紛争」という形で、換言すれば、戦線布告ではなく、知らぬ間に、気が付けば、「現在進行中のハイブリッド型」で、情報操作、テロ、非公然な形での武装勢力や民間人を装った勢力への軍事支援援助・介入で、とりわけ、ウクライナドネツクや、シリア・クルド・ISや、南シナ海での領有権争いという形で、発現していると、とりわけ、戦後処理の法的問題としてのサンフランシスコ平和条約米西戦争や下関・馬漢条約にまで、歴史的に遡る法的な解釈上の問題点が、実は、そこには、今日に至るも、存在すると云う。成る程、世界は、植民地主義の呪縛から、一見、第二次大戦後、開放されたかの如く、評価されるが、実は、第一次大戦第二次世界大戦と、或いは、各戦後処理の法的な解釈上の違いから、フランスの植民地だったベトナム領、日本の植民地だった台湾(台湾無帰属論)や、米国の植民地だったフィリピンという形で、更には、旧ソ連ウクライナ、とりわけ、ドネツクを中心とした軍事産業の集積地へのNATOによる編入とか、そして、ソ連崩壊後の中国によるウクライナソ連からの軍事技術情報の移転に基づく軍事力の増強など、考えてみれば、世界地図を俯瞰しても、我々には、余り、知られていないものの、納得がゆく「現実」が、そこには、厳然として、存在しているものである。

それにしても、非公開での中国の国防費の増大(金額と質とスピードの速さ)は、昭和初期の日本軍の軍拡をも、上廻るような凄い勢いで、陸・海・空、とりわけ、今後継続すると思われる空母の建造計画、2020~2030年代には、確実に、原潜と共に、東太平洋外洋への進出を目論んでいると云う現実がある。それは、欧州へ続く大陸経由での一帯一路構想(新シルクロード)と太平洋二分化構想、PKO微笑外交、或いは、アフリカを中心とした低開発国への低融資での海外援助・AIIB設立や国連での多数派工作戦略とも、密接に、関わっている壮大な構想である。こうしてみてくると、やはり、世界というものは、いつの時代も、ある種の経済圏と貿易ルール・航行の安全・資源確保・安全保障政策・防衛軍事戦略とが、密接に、相互に、関わっていることが、再認識されようか?一体、日本の独自の戦略は、それでは、どうなるのであろうか?少なくとも、中国の突出した軍拡の流れは、様々な幸運に、恵まれていたとも云われている。ひとつには、世界の工場であると云われた経済的な発展、ソ連崩壊に伴う軍事技術の買収・移転、歴代民主党時代の米国の相対的な軍事力・政治力の低下、日本の失われた20年に亘る低迷、等によると、分析される。では、日本の置かれた防衛力環境とは、どういうことなのであろうか?とりわけ、今時の日米同盟・ガイドラインの指針と関連作業では、現場から観て、間違いなく、日米共同作戦による強力な助っ人を得たという反面、日本への怖れから、日本の防衛力への「瓶の蓋」(制約という形)で、同時に、抑制をもする側面があると、分析している。実際、これは、既に、講演者の22年前からの米軍との顔をつきあわせた共同作戦立案作業に、現場で、関わってきた経験からや、共同訓練での実証作業を通じて、肌で感じていると、なかなか、「戦争法案」などと云う、情緒的なキャッチ・フレーズに躍らされて、物事の本質を失ってしまった民主党などの責任政党としての立場には、残念乍ら、ガッカリさせられたとも云っている。確かに、軍事的な専門家としての見地からの見方は、成る程、一般的な国民が感じているものとは、随分隔たりがあるのだと云うことが分かるが、専門家の意見にも、確かに、一理あるかも知れない。政府によるもっと、丁寧な説明も必要不可欠であったのかも知れない。冷静に、合理的に、客観的に、科学的に、現状分析し、我が国の防衛力の在り方を、今後、考えてみることは、重要なことであることに間違いないであろう。ハッピー・ハロウィーンなどと仮装パレードで浮かれている時ではないであろう。今後の防衛力の在り方の中で、様々なキー・ワードが、語られたが、なかなか、興味深いものがあるので、列挙してみたい。まずは、「非核」・「原潜」・「空母」・「長距離・中距離誘導弾」、そして、「中国の泣き所」であろうか?原爆投下被害という被爆国としての「核アレルギー」、とりわけ、原子力船「むつ」の事故以来、或いは、福島の原発事故以来、日本国民中にある一種の「強い核アレルギー反応」による防衛力の中での優れた「原潜」、「原子力空母」性能技術への懐疑という抑制力、これは、基本的には、「非核」という原則的な政策とも、関係していて、通常型の潜水艦に比して、原潜の方が、航行スピードも、潜水時間も、全く、比べものにならないほど、優れているのに、自前の「原潜」を保有できないという抑制力と矛盾。とりわけ、中国海軍による海南島を基地とした「原潜」の外洋進出を如何にして、「追尾」するのかという安全保障上の脅威への対抗策、或いは、技術的なカタパルトも含めた建造可能技術は、充分あるものの、実際には、保有できないという「空母」、これは、艦載機の性能も含めて、長距離での攻撃目的ではなくて、防衛対抗措置としての建造への抑制、ステルス戦闘機の建造、など、様々な「制約と抑制要素」が働いている現状があると、そうした制約の中でも、前述の「瓶の蓋」内部の圧力を高めながら、中距離対艦誘導弾と対潜水艦追尾体制の徹底で、対空海対応力を増強は可能であると、とりわけ、島嶼防衛力は、この上で、充分、可能になると、そして、「中国の泣き所」として、官の腐敗・貧富の格差や人民解放軍内部での派閥抗争、対立、或いは、チベット・ウィグル自治区での宗教差別・少数民族への人権侵害、換言すれば、「モスリム問題」であり、これが、貧富の格差や経済の低迷とも関わりながら、間違いなく、今後、じわじわと、波及してくるし、恐らく、モスリム勢力は世界的にも、中国国内でも優勢になるであろうと予想されると、第一線の現場指揮官の眼から観て、客観的な科学技術に基づく、軍事技術への理解と、共同作戦計画へのより深い理解と、サイバー・宇宙空間での防衛力強化と、補給線の確保など、防衛力の不足分を如何に充実させてゆくのか、そして、瓶の蓋の内部圧力を高められるかと、最期に、軍事最前線の専門家集団内部には、むしろ、こうした「冷静さ」があるものの、一番危険性を孕んでいるのは、科学的な論拠を理解することなく、ヒステリックに、只、アレルギー反応を起こす危険分子が、残念乍ら、民間の中に、或いは、政治家の中に存在していることであると、結んでいた。我々は、今日、様々な情報操作の中で、自分の判断を迷わされてしまうが、客観的な情報を評価するという場が、余りにも、少ないことに、驚いてしまう。その意味で、様々な現場の声を、指揮官も含めて、聴いてみるということは、貴重な時間であろう。現役自衛隊員の自殺の質問に関しても、既に、様々な組織的な真摯な対応がなされていて、なかなか、興味深かった。現実とは、現状とは、何たるかを、改めて、冷静に、考えてみる良い機会であったし、有意義な講演内容であったと思われる。